ここサン・クルーに越してきた時、近くに住むフランス人秘書に、
「ここからは、ピカールが直ぐだから便利よ。」と言われた。
聞くと、ピカールとは冷凍食品の専門スーパー。肉も魚も買えるしって言う。
「何で、わざわざ肉や魚の冷凍を買わなきゃならないの。生で買えば良いじゃん。」と、その時は思った。
それが、だ。この冷凍スーパー。すんばらしいのだ。
魚介類を始め、肉、野菜の素材類、デザートもその辺のケーキ屋で買うよりずーっと美味しい。
パンは、オーブンで10分で、カリフワッの出来立てが。
フランスから日本に帰った日本人が口々に言うのは、「ピカールが欲しい」だって。
うちの近所のピカール。
何故か店員が揃いも揃って美形なお兄さん方。
特に、栗毛色のオリーブ肌の彼。愛らしい顔立ち。
レジで私の順番が来ると、
「ボンジュール、マダム!」と、明るい声と満面の笑みで、まっすぐに目を見て言ってくれる。
あぁ、眩しい~!ち、直視できない~。
あまりに、あまりに、さわやかな眼差し。
私は、まるで小娘のように、小声で「ボンジュール」と答えるのがやっと。
ッたく、幾つなんでしょ、私は。
自分で自分が恥ずかしい。
でも、毎回、彼のさわやか光線に会うと、
ドラキュラが朝日を浴びた時のような、
悪魔が神の光におののくような、
セーラームーンのデロイトがリフレッシュしてくような、
そんな感じ。
これって、かなりオバサン化してるよね。
でも、このささやかな楽しみも、今月からなくなっちゃった。
さわやかオリーブ青年はリクルートしてしまいました。
う~ん、残念ッ!