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ピーナッツアレルギー

次女は、極度のナッツアレルギー。特に、ピーナッツがひどい。

それが、初めてわかったのは、2歳前。
保育園に通う少し前だった。
ケロッグのコーンフレークでピーナッツの粒粒がまぶしてある、
すこぶる美味しいものがある。

それを、1枚だけ食べた後、顔に発疹が出た。
その時は「あー、この子はピーナッツアレルギーなんだな。」
と、軽く思ってた。
そう、普通レベルのアレルギーだと。

保育園に週3日通い始めた。
ある日、連絡があって迎えに行ったら、顔がKOパンチを受けたように
腫れあがってる彼女がいた。
ひどい顔。目も開けられない。

保育士さんは、もちろんアレルギーの事は気をつけてたんだけど、
間違って隣の子のピーナッツバターサンドイッチを口に入れてしまった、という。
直ぐ気がついて、飲み込む前に取り出して、口の中を拭いたが、反応は出てしまった。

驚いたのは彼らだけじゃない、私の方がもっとである。
直ぐ、医者に連れてったら、最初に聞かれたのが、
「呼吸は大丈夫ですか?」

頭に浮かんだのは、昔、そばアレルギーで亡くなった子供の事。
当時は、なんでアレルギーで死んじゃうんだろうって、不思議に思ってた。
ああ、そうか。気管が腫れて息が出来なくなるんだ。
初めて、納得。

幸い、娘は顔だけで助かった。
その後、検査もしたけど、治るものではない。
大きくなるにしたがって、反応も大きくなってきた。
本人が口にしなくても、回りでピーナッツやピーナッツバターを食べてる人が
いるだけで、目が腫れる。
のどにも反応が出始めた。
ここに来てからも、呼吸困難で2回救急車で運ばれた。
気を付けていても、事故は起こる。
はたから見ると、かわいそーにと思うが、
本人は意外とあっさりしていて、
「好きなものが食べれない訳じゃないから、べつに平気」って。

彼女が6つか7つぐらいの時、盲腸に似た症状を起こして、
夕方から病院に泊まったことがあった。
一緒に泊まるつもりだったが、次女は一人で良いと言う。
ナースにいつでも連絡してくださいとお願いして、家に帰った。

私が家に着く前に、家に連絡が入った。
シャワー中の夫が、何かあったのかと思って、慌てて電話に出た。

「トーストをあげようと思うのですが、普段何をお使いですか?」と、ナース。
アレルギー体質だから、何かスペシャルなバターとかマーガリンを使ってるのかと
思ったらしい。

"I thinki ,,,I can't believe it's not butter"
「たしか、、、それは、バターじゃないと思えないですね。」

「ですから、こうしてお聞きしてるんです。」とナース。

「分かりました、今確認してまいります。」と夫。
素っ裸のまま、リビングを横切りキッチンの冷蔵庫へ。

電話に戻り、答えた。
「やっぱり、バターじゃないと思えないです。」

ため息をつくナース。
「だから、ご主人、あのデスネ、こうしてお聞きしてるのは、、、。」

また振り出しに戻ってしまった。
そこで、夫がやっとこの押し問答の原因に気が付いた。

「マーガリンの名前なんですよ。“バターじゃないと思えない”は。」

そういや、そんな変な名前のマーガリンがあったと、気がついたナース。
「じゃ、フローラは食べれますね。」と。
そんな、ややこしい名前付けないで欲しいですよね、といって電話を切った。

別に銘柄なんて聞かなくたっていいじゃないか、と夫。
最初から、フローラは大丈夫かって聞きゃい~じゃんって。

シャワーを中断されて、しかも素っ裸同然で、電話のある玄関と一番奥のキッチンを
行ったり来たり。
ちょっと、プチっと来たらしい。

確かに人を食ったような名前。
I can't believe it's not butter! 「バターじゃないなんて信じられない!」
って言う名のマーガリン。

お陰で、たったそんな遣り取りに、バカみたいに時間を費やした。

そんな名前つけるほうが、信じられないって。
by suzume-no-oyado | 2006-05-27 20:41
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