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踊る中年男と砂かけお婆、露出狂

まるで、村上春樹の小説のような、タイトル。
村上春樹と言えば、私の姉のお気に入り作家。
夫と面白さを共有できなかった彼女は、私に共感を求め、
「読んで、読んで」と数冊貸してくれた。

最初に読んだのは「ねじまき鳥クロニカル」。
最後まで、独特の世界に取り残され、良く分からなかった。

姉曰く。彼の描く「僕」が好きなタイプなのだそう。

エッセイ系は好きなので、サラッと読めた。
「ねじまき、、」に乗り損ねた事を姉に告げると、「ハードボイルド、、」のほうがお勧めだと。
せっかく貸してくれたんだから、読まないと失礼よね、と思い読んでみた。

うん。 これは乗れた。 面白い。
村上春樹・初心者には、入りやすいかもしれない。

そうじゃなくて、、。村上春樹を書こうとしたんじゃなかった。

あれは、そう、パリに越してきて最初のクリスマス頃。
長女とふたり、オペラ通りを歩いていた時の事。
私たちの横を、スキップしながら通り越した人がいた。
スキップだけでも珍しいのに、しかも大人、いい年のおっさんである。

花のパリ。 いろんな人がいるのは、既に知ってはいたが、こりゃまた、
インパクトの高いおっさん。

おっさん。 ルンルンである。
店先に飾ってあるクリスマスツリーのリボンをすくうように撫でたッ!
その手つき、バレエダンサーのごとし。
交差点で暫し止まったおっさんは、青になった途端、交差点の真中に踊り出た。

クルリンッ! おおっ! おっさんが回った!

大爆笑である。 パリは楽しい。

本当にいろんな人がいる。
身長140cmあるかないかの小太りの近所のおばあさん。
アパートの1階、通り側に住んでいる。

ある日、トフィーと散歩をしていたら、なにやら視線を感じる。
ん? 誰もいない通りをキョロキョロした。 いたいた。
窓のカーテンをほんの少し開けて、おばばが顔だけ出して外を覗いていた。
その不気味さが、なにやら「砂かけおばば」そっくりで、妖怪を見たようで嬉しかった。
以来、そこを通るたび、不気味な顔が覗いてないか期待してしまう。

先日、パリにも露出狂がいると聞く。
そりゃーいるだろう、と思う人がいるかもしれないが、ちょっと意外。

だって、こんなに性に対して開けっぴろげなお国柄。
例えば日本みたいに、痴漢のような中途半端なことはしなさそう。
やるなら、ちゃんと最後までやっちゃうだろうって感じ。

そんなイメージを持っていたから、これまた中途半端にお出しになる方など
いないと思っていた。 

いるんだ。

日本では、いろんな露出狂を見たり、聞いたり。
何せ、丘の上の聖なる園(女子校)に通っていたワタクシ。
はい。 出ますよ、出ます。 お察しの通り。
キャピキャピの女子高生を狙って、いるんです、坂の下に。

最初は「きゃ~~~!」と黄色い声を張り上げていた女子高生達も、
経験を積むと変わって来ます。
だんだん腹も立ち、やられてばかりでは悔しい、何か言ってやろうと。

「うふっ、かわいい、、。」 とか 「ちいさ~い!」 とか。
言ったか言わないかは、定かではありませんが、しかし、そういう敵もさるもの。
反応が薄くなった女子高生の気をひこうと、あの手この手。
リボン付きが出現した時は、呆れました。
大笑いされた露出狂は、二度と出現しませんでした、とさ。

そんな事も、忘れていた大学時代。
夜8頃の電車で、座って放送劇の台本にする本を夢中で読んでいた私。
すると、前に立っている人がつり革にぶる下がって、やけに私のほうに身体を寄せてくる。
込んでもいないのに、や~ね~。酔っ払いかしら?と、努めて気にしないでいた。
なんだか、またこちらにもたれかかってくる感じで、ムカツイテ本から目を離し前を見た。

うっきゃ~~~~~~~~~~!!!!!!!

ものの5cmも離れていない目の前に、○○○がっ!!
一歩間違えば、くっつくところ!

あまりの衝撃に、声も出ず、本を閉じ、席をすっくと立ち、隣の車両に逃げ込んだ。
一瞬の出来事。

ああ、ぐやじぃ~! 今思い返しても、悔しい~!
何が悔しいって、やられっぱなしだったって事。
目が腐る事されといて、何も出来なかった。
せめて、きゃ~!と悲鳴でもあげれば、周りの人は気がついたかもしれないのに。

分かっている。 今だから、言える事だって。
コートをぺろっとめくって、みんなに見せてやればよかった。
読んでた本で、ぱしんっと、挟んでやればよかった。
シャーペンでも出して、突っついてやればよかった。

ああ、きりがない。
18の小娘にこんな事、出切る訳がないってね。

悔しさも、青春なのね。
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by suzume-no-oyado | 2007-02-15 02:02 | 暮らし | Comments(7)
Commented by ポポ手 at 2007-02-15 09:38 x
砂かけ婆、いいね。フランス人に説明する時、大変そうだけど。
>妖怪を見たようで嬉しかった。
ってところが、さすが前向きな雀さん。こちらにくると、やっぱり癒されます!
Commented by suzume-no-oyado at 2007-02-15 16:32
ポポ手さん、その後調子はいかがですか?
幽霊のような恐い体験は、二度は嫌ですが、貴重な体験をしたようでやっぱり嬉しい。
妖怪とか不思議体験は、もっと嬉しいです。基本的のそういうのが好きなんでしょうね。
Commented by OKU at 2007-02-15 18:23 x
露出狂の人にはご縁がないんだけれど、砂かけおババちっくな人はウチの近所にも住んでいます。やはりおばあさん。通りに面した窓のシャッターは、常に一ヶ所をのぞいて閉め切ってるの。でもいつも覗いているのよね。白いお顔が。ウチでは「犬づれマリコ」と呼んでます。夫が言うには、昔、実家の近所に変わったお婆さんがいて、人目を避けて、中腰でコソコソ隠れるように犬を散歩させていたそう・・・。そういえば昔は、近所に一人ぐらいは”電波の飛んでる人”っていたような気がします。
Commented by OKU at 2007-02-15 18:25 x
あ、なんだか「犬づれマリコ」の意味、わからないよね。つまり、夫の昔話にあやかって、ウチではその人のことをそう呼んでるのです。
Commented by suzume-no-oyado at 2007-02-16 00:49
OKU,「犬づれマリコ」の呼称が妙に親密感があっていいですね。
「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる妖怪キャラって、周りにいそうです。
ちなみに、昔夫がロング・ダッフルコートを試着した時、「ねずみ男みたいだから、やめて」といった記憶があります。
Commented by りろ at 2007-02-16 05:15 x
うっふっふ、私もいろんなタイプの露出狂に遭遇してきたなあ。露出狂百態、なんてのが書けそうなぐらい。
いちばんビックリしたというか、「へえ、こんな場所でもやっちゃうのねえ」と思ったのは、小さいコンビニの店内で遭遇した露出狂でした。そこはもとお米屋さんだった店で、おべんとうやおそうざいの置いてある小さな冷蔵棚があったのね。幅もその前に人が二人くらい立ったらいっぱいになるくらいしかなくて、両脇がパネルで仕切られているような棚。そこをね、右前方から覗き込んであれこれ品定めしていたら、誰かが左横に密着するかのように来て立ったのよ。で、ふっと見たら、周りからは見えないように棚の両側の仕切パネルに囲われた範囲内で着ていたコートを広げて私に向かってモノを露出させているオッサンでした。
あらまあ、こんなところで、大胆ねえ、と思った瞬間、その人はさっと立ち去って行きました。その後、私はおかしくて、笑いがこみあげて仕方なかったの。
Commented by suzume-no-oyado at 2007-02-16 06:58
りろさん、あれはやっぱり反則技ですよね。いけません。
ビックリ箱を開けさせて、驚いた顔を見たいのと同じ心境なんでしょうか。
かなりゆがんでますけれど。
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