本音と建前

イギリス生活16年半の間に私たちは2つの家に住んだ。
最初の家は、日本で言ういわゆる建売住宅エリア(ハウジング・エステート)のひとつ。
同じスタイルの家が立て並んでいる訳だが、だだっ広さがとりえのクソ田舎、そのエリアだけで100軒以上あった。

イギリスの家のタイプは、知っている限りでは、デタッチド・ハウス(一軒家)、セミデタッチド・ハウス(一軒家が縦割りで2軒分)、テラス・ハウス(2階建ての家が数件繋がったもの)とフラットと呼ばれるマンションスタイル。
ロンドンでは高級フラットがあるけれど、田舎ではフラットは低所得者用のものもあり(そうじゃないものもあるが)、あまり印象がよくないのが実状。
でも最近では、都市近くではこじゃれた設備の整ったフラットも作られていて、だいぶイメージも代わってきていると聞いている。

家のタイプも3、4,5,6ベッドルーム(もちろん10以上、20以上の邸宅もある)が一般的。昔の家なら、3ベッドルームであっても他がかなり広く取ってあったりといろいろだけど、今時の家は、ベットルームの数が大きければそれに比例してラウンジもキッチンも大きくできている。

で、我家は3ベッドルームのこじんまりとした一軒家。
それでも、日本の住宅事情を考えれば、そこそこ広い庭もついてるし十分だった。

フランスに来る前の2年間は、かなり大きな家で夢のようなイングリッシュ・ガーデンも付いていて、ちょっと浮かれた事を覚えている。

イギリスでは、家を増築とか外観を変える場合、近所の合意が必要となる。
例えば、ガレージを部屋に改造する為に、新しいガレージを庭に作るという。
その為、車の出入りする場所が変わり、面している道の交通量が変わる。
変わるったって、1、2台分なのだが、どうもそこがネックだった様子。

その道に関わる各家庭に合意書が送られて来た。
私たちは、別分異を唱える理由も無かったので「YES]と答えた。
皆も同じだろうと思っていたら、隣は「NO」。
理由は、車1台分といえども、車の出入りが増えるのは嫌だと。

へぇ~、普段話している同士でも、こう言うことはきっちりしているんだ、と感心と同時に冷たさを感じてしまった、日本人のわたくし。
あ、結果は、隣人の反対はあったものの、多数の合意を得て、
無事新しいガレージと増築をなし遂げました。

次の家の時もあった。
前庭には家と家を分ける塀も無く、たいていがオープンになっているのが多い。
それなのに、それを嫌って門と塀を作ろうとした家があった。
何を血迷ったのか、合意も取らず、作業を始めちゃったおバカな彼ら。
腰の辺りまで塀が積上げられた時「ストップ」がかかった。
外国人の私たちだって、そんなこと通る訳無いって分かっているのに、情けない。
やむなく取り壊しになったのだが、買い揃えた材料はどうなったんだろうって、
いらぬ心配をしていた。

次女の友達の家で、庭にプールを作る計画が持ち上がった。
だだっ広い庭にプールを作ったって、プールだけの庭になる事も無く、家の中だから何の問題もないと思っていたら、とんでもない。
これも近所の同意が必要だって。 聞いた私はなんで?と理解不能。
しっかし、面倒くさい国なのねーと友人とぼやいていた。

他の家には、なんの関係もないと思っていたら、反対はあるものの五分五分だとか。
隣の人も「別に問題ないから大丈夫よ」って力づけてくれてた、と。

同意書が戻ってきた。
結果は、惨敗。 結局プールは作れなかった。

彼女曰く。
「プールが作れなくなって残念だけど、それよりも何よりも悔しかったのは、信じていた隣人が一番反対していたのが分かった事」だと。

本音と建前は、イギリスにもあるんだ。 
日本人の専売特許ではなかったわけね。
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by suzume-no-oyado | 2007-03-02 19:19 | 暮らし | Comments(6)
Commented by soleiljap at 2007-03-02 23:52
日本でも法規にのっとって建築設計を行い、実地にはいる前に、近隣説明をします。もめない方向へ持っていくように取り計らうのかしら。最終的にもめて中止なんてのは、あまり聞かないですね。
プールの件は結局はできなかったのね。多数決で決まってしまうのですね。日本は反対する人がいたらお金で解決しそう。これは日本の専売特許?
すずめさんのBlogにリンクはらせていただきました。事後報告ごめんなさい。
Commented by suzume-no-oyado at 2007-03-03 03:37
ソレイユさん、そうですよね、日本だってきちんと手続を経て、改築に至っているんですね。あたりまえか、、、。
でも、やっぱりイギリスはそういうことが、より難しそうです。
リンク、ありがとうございます。
Commented by OKU at 2007-03-03 03:53 x
スイスに住んでいたときは、「樹齢○年以上の木を切る時には許可がいる」ことになっていました。自分の家の庭の木でも自由には切れない。でもベルギーでは、そんなことはお構いなしのよう・・・。お隣の家のとても立派で大好きだったモミの木が、いきなり朝、チェーンソーで切り倒されました。昨年秋は、ウチの前の街路樹が全て行政の手で切られたんです。理由は、「玄関先が木陰になると、ドロボウが入りやすいから」ですって。さすが、犯罪発生率が上昇中の国だと思いました。せちがらいですよね・・・。
Commented by suzume-no-oyado at 2007-03-03 05:17
OKU、なんか嫌な世の中ですね。そんなこと言っていたら、街路樹全て丸坊主にしなきゃならないじゃないですか。
でも、実際死角に入っている玄関は狙われやすいようです。
隣は泥棒に入られて、初めて自分の家の玄関が何処からも見えないことに気がついたそうです。
でも、彼女、出かけるときに忘れて、ドアをバーンッ!と開けっ放しで5時間も放置してた時は被害が無かったんです。
大胆にドアを開けてるほうが、ドロちゃんに入られにくいんですね。
って、ただ単に運がよかっただけなのかしら??
Commented by kish-paris at 2007-03-03 06:00
フランスは建て替えというのがとてもむずしいと聞きました。だからうちの右隣は外壁だけを残し中をすべて変えたそうです。木を切るのも役所の許可が必要だそうで左隣の家は天まで登りそうな大きな柳の木を切れないらしいです。下に運河が流れているので春になるとぐんぐん伸びて枝を切ってもらう費用もバカにならないんだとか。お気の毒です。でもうちにとってはちょうど目隠しになるので都合がいいのです。
ヨーロッパは建物に関しては管理がしっかりしているのかもね。
Commented by suzume-no-oyado at 2007-03-03 17:21
きっしゅさん、フランスは特に難しい気がします。
サテライト・ディッシュにしたって、取り付け許可が下りない場合があります。アパートならしかたが無いかと思っていましたが、一軒家ですら「地域の雰囲気を損なうから」の理由でつけられなかったそうです。
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