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Chez Geraud

ミラノ引越しまで、とうとう2週間を切った。家の中は、引越しムード満点。つまり足の踏み場が無いって事。そして、ポツリポツリとお別れ会が始まった。

夕べは、ご近所組のあけみさんとゆうこさんに招かれる。
「何処にする?」と聞かれて、招かれる身なのに「行きたいとこがある!」とリクエスト。

Chez Geraud シェ・ジェロー
「今年のビストロ」に選ばれた16区にあるビストロ。
上質の食材で丁寧に作られたお料理。「贅沢な部類のビストロ」と美食ジャーナリスト・かのうゆきのさんのお勧め。

夜8時過ぎ。ポツリポツリと降りだした雨から逃れて店に入り込む。
入り口のタイルの壁もステキだったが、店内にあるタイルの絵もノスタルジックでいい感じ。まだ、お客さんは数組で店の中はがらんとしている。

ゆう子さんと私がメニューに目を通していたら、あけみさんが到着。
おしゃべりに夢中になりながら、オーダーを終えた頃には、いつのまにか店内はいっぱいになっていた。

なにやら独特の雰囲気。星付きレストランの豪華さとは違う、品の良さが感じられる。来ているお客さんで店の雰囲気が出来ているとでも言いましょうか。
お客さんは地元のブルジョワって感じ。年配のマダムは見るからに品があり、これまた年配のムシューは仕立てのいいスーツをピシッと着ている。みんな常連客なのだろう。オーナーは、それぞれのテーブルに座って談笑している。

「ね、なんか私たち雰囲気壊してない?」

いわゆる「一見さん」の私たちは雰囲気に溶け込んでいないような気にもなる。

「一週間通ったら、常連になれるかもねー」って。それってやっぱちょっと無理。

絵に描いたような、古き良き時代からのウェイターのソツのないサービス。
古き良き時代のパリにタイムスリップしたような。ああ、なんだか、いい気持ち。

そして、気になるお料理は、もちろん二重丸!

スターターは、私とあけみさんが「ポワローのビレグレットとフォアグラ」。フレンチ・ドレッシングでマリネされた甘いポワローと極薄のフォアグラ。このフォアグラの薄さとポワローとのバランスが絶妙。
ゆう子さんが頼んだ「スモーク・サーモン」は、ディルがふんだんに使われていて、まろやかさ、塩加減共に満点。

メインは、「子牛のレバーのソテー」と「鴨のオレンジソース」。
この一見、超シンプルなお料理が、とても美味しかった。
カリッと焼き上げたレバーソテー。焼き上がり具合もパーフェクト。
濃厚なのにオレンジでさっぱりの鴨。甘さも、本当に丁度いい。

デザートは、とてもクラッシックなお菓子たち。その中から、ババとパリ・ブレストのカフェクリーム、チョコレート・ケーキを選ぶ。ババは気持ち甘すぎたが、全部これぞ「パリのお菓子」を堪能。全部の味を楽しもうとみんなでわけっこしていたら、頼んでもいないのに小皿を持ってきてくれた。なんか嬉しい心遣い。私が頼んだパリ・ブレスとは、大きいのとプチのとふたつがお皿に乗っていた。食べ終わった頃に、他のお客さんが頼んだパリ・ブレストを見たら、ひとつだけしかお皿にのっていない。「あれっ?私のって、ちょっとスペシャルだったの?」って顔していたら、サーブしてくれたウェイターが「今ごろ気づいたか」って顔をして通り過ぎた。ふふ。なんだか、ちょっと嬉しくなった。

最近流行りの「懐石風フレンチ」では味わえない、一品を丁寧に味わえるお料理。一皿を最後までしっかり満喫できる。お勧めのボルドーの赤ワインも値段も手ごろで美味しかったし。

スペシャルなレストランもいいけれど、気取っていないのに品のいい雰囲気を楽しめる、このレストラン。今、私の中で一押しである。

もう一度行きたい。
今度はビストロではめったにお目にかかれない「ブレス鶏」を注文したい。

Chez Geraud
31,rue Vital 75116 PARIS
01.45.20.33.00

食後、通常ならレストランでお開きになるところ、ご近所組は帰りも一緒。
メトロで乗り換え駅を間違えるというハプニングもあり、まるで女子高生のノリの私たち。
誰が言い出したのか「ブローニュから歩いて帰ろう」って事になる。
ぷ~らぷ~ら歩いて帰るのかと思ったら、ふたりともタッタッと歩くから酔いもさめちゃった。それでも、12時過ぎ、気持ちのいい夜風を受けながら、セーヌ河を眺め、エッフェル塔のイルミネーションも楽しみ、おしゃべりもふんだんにして、帰宅。お料理と同じくらいの楽しい時間。

ああ、やっぱりパリ生活はよかったな。(くすん)
by suzume-no-oyado | 2007-07-06 08:39 | お料理
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