バイバイ・パリ

7月16日から18日まで、3日間に渡る引越しが終わった。

19日の午前9時に不動産屋さんとアパートの最終確認。各部屋ごとに細かいチェックが入る。壁につけた釘の穴を数える。聞く所によると、穴ひとつが30ユーロだとか?! う~、かなり開けてしまった気がする。知っていたら、もう少し考えて開けてたかも。
夫の会社から、英語の話せるフランス人・マリアが来てくれる。不動産の女性も英語を話はしたが、分かってもいないのに「ふり」をするフランス人がけっこういるので、信用しちゃいけない。なので、マリアが全部確認。

実は、ちょっとした「ドキドキ」があった。

家具無しで入った、このアパート。引っ越してみたら、ラウンジにドーンと大きなキャビネット。「困ります」って言ったのに、「どこかに置いといてくれたらいいから」なんていい加減。仕方がないのでカーブ(地下倉庫)にしまいこむ事にした。やたら大きかったので解体してみたが、それでも、まだ大きい。そこで、途中でヤケクソになった夫婦は、柱をバキバキへし折った。「あっはっは、やったぜ!」と、玉の汗を流す夫を見ながら、「もとにもどせるの~?」と、顔が引きつったのを覚えている。

あれから、5年。あの壊したキャビネットはどうするのだろう?

契約書を見てみると、何処にもキャビネの事は書いていない。何度も何度も、ひとりならずふたりにチェックをして貰ったが、やっぱり無い!では、「無かった事に」と決め込んだ。

そして、当日。担当者は、私たちと同じ契約書と一緒にもうひとつ、もっと細かいチェック事項を持っていた。

マリアと顔を見合わせる。

キッチン、無事通過。ラウンジOK。リビングも大丈夫かと思いきや、最後に「キャビネットは?」と。 甘かったか、、、。 だよね。 あんな大きなものを見過ごすわけが無い。でも、それでも、「知りません」と言い通すしかなかった。だって、「証拠隠滅」って、引越し屋さんに捨ててもらっちゃったんだもの。まさか、「捨てちゃいました」なんて、今更どんな顔して言えるんだって、ね。
「知らぬ存ぜぬ」を通したものの、それじゃぁ済む筈がなく、あとでどんなクレームが来るのか、かなり恐い。

1時間以上かけて、チェック完了。鍵も全部返却して、これで、とうとうこのアパートともお別れ。がらんどうになった部屋を見ていたら、涙が出てきた。

特に、娘達の部屋。

長女の部屋を見ていたら、「ああ、ここから巣立って行ったんだな」って、もう一緒に住むことの無い彼女をいとおしむ。次に次女の部屋。楽しい事だってあった筈なのに、この部屋は泣いている彼女しか思い出させてくれなかった。

待っていてくれたガルディアン(管理人)に最後のご挨拶。
数日前には、お茶に招いてくださって、別れを惜しんでくれた。

ホテルに戻って、チェック・アウト。最後にって、あけみちゃんが見送りに来てくれた。
タクシー到着。荷物を積んで、いよいよ出発。

泣かないつもりでいたのに、笑顔で別れるつもりでいたのに。
思わず「ミラノには、あけみちゃんがいないよ~」って、抱きついて泣いていた。

あけみちゃんやきっしゅさん、ゆう子さんをはじめ、別れを惜しむ人たちがいっぱいいたパリ。京子先生に教わったピアノはミラノでも続けよう。
リヨン駅から発った電車は、7時間後には泣いてもわめいてもミラノに着く。
泣いてなんていられない。お腹に力を入れて、新しい生活をスタートさせなくちゃね。

「大変だ~!」と思うより、「楽しい事いっぱい!」と信じたほうがいいもの。

バイバイ・パリ! 
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by suzume-no-oyado | 2007-07-25 02:42 | 暮らし | Comments(10)
Commented by soleil at 2007-07-25 07:10 x
ミラノのすずめさん、こんにちは♪お引越し無事に終わられたのね。お疲れ様でした。
新居での生活スタートされたようですね。新しい門出おめでとうございます。(←日本的)
新しいお家と新しい環境、地続きとはいえ、言葉も食べ物も国民性も全然違う国。慣れるまでいろいろ大変なこともあるだろうけれど、すずめさんならきっと、120%楽しむだろうな。
お引越しのお疲れ、これから徐々にでてくるころです。どうぞ無理しないでね。落ちついたらミラノからのblog楽しみにしています。
Commented by suzume-no-oyado at 2007-07-25 08:33
ソレイユさん、ご無沙汰してます。はなむけの言葉ありがとうございます。
前回の引越し後もそうでしたが、「あれ、どこ?」と聞かれる度、記憶の引出しを開けるのが億劫になっている状態です。キーワードになっていて、言われるたび「もう、やめて~!」って感じ。これが、暫く続くと思うと、嫌になってしまいます。

落ち着いたら書くブログ、と言うより、片付けからの逃避に使いそうです。
ああ、なんてだめな、わ・た・し、、、。
Commented by ポポ手 at 2007-07-25 13:36 x
お疲れさまです。ずっと更新を楽しみにしていました。穴一つ200ユーロですか。私も昔、一人暮らしをしていた頃、引っ越しの査定で、穴一つ600円取られました。その穴の中にはエアコン取り付けのための穴もあったんですが、それって前の住人のあけた穴を利用しただけだったんだけど、しっかり取られてしまいました。たしかに少し穴は広げたけれども。
次女のお部屋の話、ひとごととは思えず、私までうるうるしてきます。思春期はどこもいろいろありますね…。
なにはともあれ、おカラダに気をつけて。私は朝から晩まで『源氏』訳で一日が終わる頃には、ほとんど目が見えないような状態で、怖いです。こうしたブログはそんな私のオアシス(言い古された言い方ではありますが)なんです。
Commented by kish-paris at 2007-07-25 15:47
やっほ~、待ってましたよ、このブログ。引越しで大変なんだろうなあと想像していましたがついにミラノ生活が始まったのね。パリに戻ってもすずめさんはもういないんだ。。(-_-;) 
今ソレイユさんから電話がありました。メール送ってくれたの?何も届いてないんだけれど。新しいメルアド教えてね。わたしスカイプ始めたけれど音が切れてきれいにきこえないの。近いうちにビックカメラにUSB PHONE取替えに行ってみるけれど。スカイプ仲間になってくださいな。ミラノでの楽しい生活ブログ楽しみにしています。
Commented by suzume-no-oyado at 2007-07-25 18:59
ポポ手さん、戻って参りました。
穴ひとつ200ユーロではなくてフランの話だったようです。なので30ユーロくらいだそうです。査定は前回の穴をちゃんと差引いてくれてました。
でも、キャビネがね~。どうなることやら、、、。

私よりポポ手さんの体が心配。ちゃんとビタミンAとってね。ありゃ、鳥目か、、、。健康あっての仕事ですからねっ! ねっ!
Commented by suzume-no-oyado at 2007-07-25 19:02
きっしゅさん、お久しぶり。日本は貴方に元気を与えてくれましたか?
さっき、ブログに遊びに行きました。相変わらず、食べてますねー。食べれるのはいいことです。

私も落ち着いたら、スカイプ入れますね。10月のお休みにはゆっくりとパリに帰る予定。それまでには戻っていて下さいね。
メール再度送ってみます。
Commented by ポポ手 at 2007-07-26 18:34 x
ウナギがいいらしいからこれから食べるようにします。ブログもたまーに更新してます。でも今後は月に一、二回になるだろうか。ああ、『源氏』が終わったら、雀さんのとことかOKUのとことか、あちこち行きたい!
Commented by suzume-no-oyado at 2007-07-26 20:46
ポポ手さん、うなぎとはいいですねー。私は大のうなぎ好きです。うな重を始め、寿司、酢の物、みんな好き。不思議とうなぎって暑くったって食べれますよね。

ミラノで待ってるから、早くおいでねー。
Commented by kiko at 2007-08-23 17:41 x
海外での引越し作業、本当にお疲れさまでした!! 
一ヶ月ぶりのブログチェックだったもので。この約一ヶ月間のすずめさんの引越し前後の内容に釘づけです。
がらんどうの部屋を見て涙されたすずめさん・・・ ジーンときました。海外で暮らすということは、予期せぬ様々なストレスとの戦いばかり。そんな中で家庭・子育てを支えるわけですから、並大抵のことじゃないわけで。 それを、ブログを通じて笑いあり涙ありでタフに表現されているすずめさんや、きっしゅさん達・・こそ、私にとっての「勇気の供給」です。 
ミラノって暑いんですね!ちょっとびっくり・・。ベトナムみたい。暑いと体力の消耗が激しいですからね、どうぞ無理せず。
これからのミラノ発信ブログ、楽しみにしております。
Commented by suzume-no-oyado at 2007-08-24 05:07
kikoさん、お久しぶりです。バカンスにいかれていたのですか?それとも、一時帰国ですか?

暑さと忙しさで、シッチャカメッチャカの家の中も、とりあえず生活レベルへ達しました。夫は、あそこを片付けたい、ここも、なんて言っていますが、聞かない振りをしています。とりあえず、今はお休み中です。

生活は始まったものの、まだ欲しいものが自由に手に入らないので、食事もなんだかワンパターン。ちょっと窮屈です。

海外生活のストレスを理解しあえる相手って、そう多くはいませんよね。
まるで海外旅行の延長のように、単純に「いいわねー」と言われると、ちょっと「それは違うぞ!」と言いたくなってしまいます。
フランス語は途中で諦めてしまったので、今回は同じ過ちを犯さないようガンぼろうと思っています。言葉が不自由だと気後れしてしまって、なんだか嫌です。

ベトナムは夏はやっぱりかなり暑いんですよね。ばてないように頑張って下さいね。
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