ブータンの王子

これは、独身時代の夫の話。

彼は、大学時代に独学でドイツ語を学び、希望通りドイツ留学を果たした。
その、ドイツ時代。
かなり苦労したらしい。
大人しい僕ちゃんだった彼は、揉みに揉まれて、泣くこも黙る今の性格になった。
黙っていたら損をする、そんな社会で怒る事を身につけた。
身に付けすぎなんだけど、、、。

そんな彼が、バスに乗っていた時の事。

隣にアフリカ系の黒人が座った。
外人同士のへんな連帯感があるのか、彼は夫に話し掛けた。

「おい、おまえ、何処から来たんだ?」
「何処だと思う?」

「中国か?」
「この手の顔を見たら、直ぐ中国人って思うなよ。」
ここで、夫はちょっと、からかいたくなってきた。

「おまえ、ブータンって国、知ってるか?」
「知らねぇな。どこだ、そりゃ。」
「ネパールの横だよ。 俺は、そこの王子なんだ。」
と、腕にはめてたロレックスの時計を、何気に見せびらかす。

「えーっ!王子かよー!ホントだ、そういわれて見ればどこか違うよなぁ。」
と、なんて素直な彼。
何を思ったのか、彼は他の乗客に、

「おい、こいつ、ブータンの王子なんだってよー。」
と、王子と喋った自分を自慢するように言った。

「じゃあな。」
と、我が夫はブータンの王子としてロイヤル・スマイルで、バスを降りたのであった。

でも、何で、ブータンだったんだろう??
by suzume-no-oyado | 2006-04-25 23:30 |
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