アサリじいさん

もうひとり、忘れてはならない人がいた。

あれは、3年前の夏の事。
姉とふたり、近所のスーパーへ買い物に出かけた。

「今晩、何にする?」
「何にしようか。」
と、何気ない会話をしてたら、アサリの特売を見つけた。

「アサリの酒蒸しが食べた―い。」と、即食らいついた。

なになに。
プラスティック容器に入るだけいれて、同じ値段ね。
よっしゃー!がんばって入れようねー、と姉と張り切る。

まだ入る、まだ入ると、がんばっている私たちの横で、奮闘しているじいさんを発見。

あれ?あれあれ? なんか、おかしい。

じいさんったら、がんばって入れてるのは良いけれど、
入れるたび反対側から落ちてるって。

ポロポロ ポロポロ。

でも、気がつかないじいさん。
どうして、一杯にならないんだろうって顔してる。

まるで、穴のあいたバケツに一所懸命砂を入れている子供のよう。

ポロポロ ポロポロ。

笑っちゃいけないのは分かってる。
でもね、人には限界と言うものがあってね。

姉とふたり顔を見合わせ、フッと鼻息が洩れた途端、耐え切れなくなった。
じいさんが見えないところまで、ダーッと必死で駆け込み、
おなかを抱えてヒーヒー笑った。

ごめんね、おじいさん。
今でも、思い出すたびフッと笑える私です。
by suzume-no-oyado | 2006-08-29 04:25 | 日本
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