誰でも経験する事だが、音楽で記憶が呼び起こされる事がある。
片思いをしていた時によく聞いていた曲を耳にすると、あの時の気持ちがよみがえって、
胸がキュンとなる。
そんな切ない気持ちになると、気持ちは一挙にあの頃へ。
「初恋」「初キス」「初体験」「初ふられ」。
すべて、バック・グランド・ミュージックがあった。
最近の私は、音楽ではなくて「匂い」でタイム・スリップ状態。
今は、昭和30年代。 まるで「三丁目の夕日」。
近所のスーパーで買った食器洗い洗剤。
オレンジの香りを選んだら、それがなんと!
「渡辺の粉末ジュース」の匂いがするのだ!
途端、おかっぱ頭の私が、昔の家の台所で粉末ジュースを溶かして飲んでる姿が。
しかも、空っぽの袋に指を入れて、残った粉末を舐めてたりするじゃないですか。
しかも画面は白黒ときている。
この前は、これもスーパーで買った、その辺のメーカーの化粧落とし。
何気に使ってみたら、14歳の時に始めて使った資生堂の乳液と同じ匂いが。
湯船に浸かりながら、これまた、タイムスリップ。
あの頃の自分の部屋に座っている。
うす緑色に小花の絵をあしらったティーンエイジャー用の化粧品。
「ニベア」や「ウテナお子様クリーム」から脱して、ちょっと大人気分になったっけ。
ちょっと前は、お散歩コースのミニ・トンネルの中の匂い。
昔のおばさんちの台所の匂いがする。
嫌いな匂いだったんだけど、死んだ母の記憶と混じって、ちょっとウルッ。
フェイス・クリームを変えた。 ちょっと気になるシワに効くやつ。
あれ?この匂い、知ってる。
そうだ、夫が昔つけていたアラミスの香りだ。
付きあい始めた頃のおなかの出てない細い夫の登場。
テレ屋で、あんな豪傑とは知らなかった頃。
お互いういういしかったな~。
思わず手のひらに残った匂いをむせるほど嗅いでしまった私。
匂いにまつわるエトセトラ。 楽しいタイム・トラベル。