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短い恋の物語

と言う事で、去年の今ごろは、母の一周忌で日本に帰っていた。
家のことは娘達に任せ、すっかり羽を伸ばさせて貰い、多少の罪悪感を覆うように、
お土産を一杯手にして、帰宅。

帰るとすぐに、次女が頬を赤らめて、なにやら恥ずかしそうに言った。

「マミー、初めて彼氏ができたの。」って。
へぇ~、それはおめでとう。と言って、ねほりはほり聞く。

なになに。
映画に誘われて、行ってみて、何人かいると思ったら自分ひとりだけだったわけね。
そこで、告白されたんだ。
ひとつ上で、かなりかっこいい人で、何人かファンもいる人気者。
まさか、そんな人に付き合ってって言われるとは思わなかったんだ。
ふ~ん。で?付き合う事にしたわけね。

もう、ウキウキ。キャピキャピ。  ああ、これぞ青春!
そんな楽しい思いを最後にしたのは、何年(何十年)前だろう。
や、やめた。 なんか悲しくなってくる。

そして、初めてのデート。
学校帰りにふたりで映画。 まるで絵に描いたよう。
夜9時過ぎ。 メトロの駅まで車で迎えに行く。

彼に送られてきた彼女。
なんて、可愛いカップルだろう。
おお~、ジャニーズ系じゃあないか。 母は思わずメガネを取ってご挨拶。
きちんと挨拶する彼。 うんうん、いい感じ。

別れ際、じゃあね、と言ってキスをしたふたり。
挨拶の軽いキス。でも、頬じゃない口。
そんなの見慣れてると、思っていた。 挨拶だって知っている。
でも、目の前で、しかも自分の娘となると、話は別だった。

ピキピキピキ。 すっかり固まってしまった私。
こんなに長く海外に住んでいたって、やっぱり私は日本人。
キスの国民じゃないのね。

立ち直るのに数分かかった。
それでも、私だもの。 ブンブンと頭を振ってお終い。

それが、木曜日。
次の日の金曜日、娘がなにやら浮かない顔。
どうしたの?

「どんなに皆がパーフェクト・ボーイフレンドって言ったって、なんか違う気がするの。」
どうして?
「ドキドキしないんだよね。」
でも、知り合って間もないんでしょ。もう少し様子をみてみたら?
「うん、友達にも言われた。クリスマス頃まで付き合ってみる」

そして、土曜日。

学校のクリスマス・セールから帰ってきたら、「彼と別れた」って。
ええ~!? 昨日、様子を見るって言ってたじゃない。

だってだって。

マミーだったら、耐えられる?
3日間で携帯に78メールも着たんだよ。
学校で休み時間毎に探しに来て、友達と話も出来やしない。
最後なんて隠れちゃったよ。
これじゃ、ストーカーと変わらないよっ!

思わず納得。 それじゃ、いやだよね。

彼は、彼女ができて、舞い上がっちゃったのね。
ベタベタ派の彼とあっさり派の娘。
彼女の気持ちが盛り上がる前に、ベタベタ光線を一杯に浴びて、
すっかりしおれてしまった彼女の気持ち。

恋はやっぱり駆け引き上手じゃないとだめなのかしらね。

3週間の短い恋の物語。 めでたし、めでたし?
by suzume-no-oyado | 2006-12-19 06:20 | 子育て・娘
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