人気ブログランキング | 話題のタグを見る

世知辛い世の中

新しい国に住み始めて一番大変なのは、物が何処に売っているのか探す事。
スーパーで手に入るものはいいとして、他の雑貨類のお店は一体何処?
どうせ買うなら気に入ったものを買いたいと思うが、こじゃれたお店も知らないし。
そうなると、結局とりあえず、とどの国でもあるIKEAに行くことに。

車のナビに住所を入れ、いざ出発。
そう遠い場所では無かったのに、反対車線に入る道を間違え高速に乗ってしまう。
道がクルクル入り組んでいると、よくやる失敗。
以前フランスに越したての頃、行きたい道に入れなくて30分以上クルクル回っていた事があったっけ。それでも、2回目には目的地に着けたので、よかった。

IKEAで必要なものが全てそろうと思っていたのに、結局たいして買わずに終わった。
もう、今日は帰ろう、と駐車場に戻ると、車のワイパーに紙が挟まっている。
嫌な予感で見ると、謝罪と連絡先が。
えっ!? ぶつけられた?
左バンパーにかなりこすった跡がある。 こりゃ、ばりばり初心者だねー、と私。
ん? どうした夫。 すっかり肩を落としているじゃない。
そりゃ、疲れた一日の最後の仕打ちがこれじゃ、ガックリ来るもの分かるけど。
凹んでいるわけじゃなし。 普通当て逃げされるのに、連絡先を残していくなんて、めったにある事じゃない。運は悪かったけど、運がよかったと思うよ、と慰めてみた。

だめだ、こりゃ。
意気消沈。 ドロドロ。 夫の周りにマイナスのオーラが見える。
英語では「頭の上に雲がある」って言うんだっけな。じゃ、フランス語ではなんて言うんだろう?とおきらく妻は暗い夫をよそに考えていた。

マイナスの気はマイナスを呼ぶっていうから、頼むから事故にだけは気をつけてね、と次のことを心配。それでも、レストランにつく頃には、「うまいものでも、食べてふっきろー!」と前向きになってた夫。 半ばやけくそだろう。

今夜は夫の行きつけレストランに連れて行ってもらう。
農家を改造したと言うそこは、温かい感じでホッとする。
すっかり顔になっている彼。 歓待である。

地元のワインと地元の生ハム、サラミ。一緒に出て来たチーズキッシュ。
どれもこれも、とってもまろやかな味。
カメラを忘れて、お見せできないのが残念。 次は絶対撮って来ます。

夫お勧めのスープ・パスタを注文。
パルミジャーノ80%と別のチーズ20%(名前を忘れた)で作られたラビオリがチキンベースのスープの中に。 
見た目は極普通なんだけど、一口食べて、目が見開いた。 おいし~~!!
なんて優しい味なんだろう。 ペロッと一皿たいらげる。
これを食べにまたここに来るだろう、と確信。

メインは、オニオンソースの牛ヒレステーキ。夫と半分こする。
美味しかったけれど、クリームが余り得意じゃない私。 
どうしても最後はもてあまし気味になっちゃう。

デザートは、あっさりとレモン・シャーベット。
イタリアは、トロッとしたシャーベットをストローを添えて、グラスで出してくれる。
でも、肺活量の少ない私には、かなりしんどいので、いつもスプーンで頂く。
コーヒーの後だったか前だったか忘れたが、オーナーが食後酒をご馳走してくれた。
私はレモンのリキュール・レモンチェロ。
夫はプラムのリキュール。
このプラムのお酒がとっても美味しくて、買って帰りたくなる。

帰り際、トイレに入って、またビックリ。
え?! 何でイタリアに和式トイレが?
形はちょっと違うが、これはまさしく和式。

戸惑いながら、用をたし席に戻る。
夫は、そんな私を笑いながら、「けっこう、外のトイレはこのタイプが多いから、僕は外では行かないようにしてる」と仰る。
私だって嫌いだって。言ってくれれば、ホテルまで我慢したのにー。
とは思ったが、ちょっとしたトリビア状態になったので、ま、いいか。
じゃ、イタリア人はウンチング・スタイルができるのだろうか?
と、昔、和式トイレで転がった娘達を思い出していた。

次の日、車をぶつけた相手に連絡を取ってもらった夫。
やはり、みんな口々に「そんな事ありえないよ」 「アンラッキーだけどラッキーだったよ」と。あれくらいなら私だって逃げちゃうもの。今時、こんな良心的な人がいるのね、と感心していた。

でも。

その人には逃げられない理由があった。
乗っていた車がレンタカーだったから。ぶつけた状況を報告しなくてはならない。
嘘を言ったって始まらなかった訳ね。

そうか、そうだったのか。
そうじゃなかったら、やっぱり普通は逃げちゃうよね。

世の中そんな甘くない。
by suzume-no-oyado | 2007-03-25 16:20 | 暮らし
<< 超過密スケジュール クマの引越し >>