人気ブログランキング | 話題のタグを見る

結婚できない男

ミラノのリナーテ空港からタクシーで新しい我家まで行った。
30度というリゾート地のような陽気。
底抜けに明るいタクシーの運ちゃんが、これまた景気よくイタリア語で話し掛けて来た。
「イタリア語は分からないです~。」と覚えたてのイタリア語で答える。
英語なら、と言った途端、嬉しそうに話し始めた。

「イタリアはね、日本文化がたくさん来ているんだよ。特にマンガとかね。
オタク人口も増えて来ているし。あ、ボクもそのひとりなんだけどね。
日本のアニメが最初に来たのがイタリアなんだよ。みんなスペインだと思っているけど、そうじゃあないんだな。」と、ぺらぺら。
すると、彼はダッシュボードから、本を取り出した。

「これはね、ボクの宝物なんだ。子供の頃見ていたアニメがたくさん載っててね、本屋でこれを見たときには、嬉しくってすぐ買っちゃったよ。」
そう言って、運転しながら、ハンドルの上に本を置きページをめくり始めた。

あ、危ないって。ちゃんと運転してってば。
まだまだ、彼のアニメ論が続く。

ページが開かれて、手渡され、むりやり見る羽目に。
マジンガーZやデビルマン、その他みた事無いものも含めて挿絵がある評論本。かなりマニアックである。そのあとも、日本人女性と結婚している友達が何人いるとか、日本食の話だとかアパートに到着するまで喋り通し。
ちょっと疲れた。

落ち着いてからお昼を食べ、学校に行き、お茶をし、デパートでベッドカバー等を買い込み、メトロに乗る。メトロの駅からアパートまで徒歩5分。
歩きすぎて、足が痛いとブツブツ言っている娘を励ましながら歩く。
広い道路の真中にはトラムが通っている。
道路を渡る。足が痛いのでゆっくり渡る娘を待っていた一台の車。娘がほぼ渡りきったか切らないかで、左折した。

ガッシャーン !!

横を走っていたトラムに体当たり。前のバンパーがすっ飛び、私たちのほうへ飛んできた。
完全にビビって立ちすくむ、娘と私。

「ね、これって私たちのせい? 違うよね。私たち何にもしてないよね。」
確かに何にもしてはいないが、渡リ切る私たちを待っていてイラついたのか、気をとられていたのか。
「私たちのせいじゃないけど、もしかしたら、もっとゆっくり渡ってあげたら事故は防げたかもね。」と、ふたり無理やり納得。スピードを出していなかったからよかったものの、勢いがあったら、巻き込まれていたかもしれない。おお、恐い。

夜8時。夫が帰ってきた。
近所で買ったお弁当が今日の夕飯。
食事が終わり、片付けようとしたら、夫が仕切り始めた。
これは、ここに捨てて、とか細かく指示。ゴミの分別まではよかったが、プラスチック容器の洗い方まで言い出した時には、ちょっとむかついてきた。

なんか雲行きが怪しい。
自分で何にもしない人がひとり暮らしを始めて、すこしは自立してくれるのでは、と期待はしていた。確かに、掃除、洗濯、アイロンがけとかなり自分でやれるようにはなった。
だけど、、、。
アパートは夫の城となっていた。自立を通り越して、自分のやり方が確立。
そこに、娘と私。

いつもの場所にものを置かないと、それはそこじゃない。
ちょっと違うやり方をすると、そうじゃない。
ふつーに歩いているのに、もう少し静かに。
静かに話しているのに、うるさい。
11時過ぎにトイレを流したら、遅いのに流すなって怒られる。
ああじゃない、こうじゃない。

うるさーーーい!!!!

意にそぐわない事をするたび、「あー!」とか「うー!」とか。
これって、「結婚できない男」の阿部寛じゃん。姿かたちはずいぶん違うけど。

高い天井で、しかも家具がほとんど無いから、音が響く。だからって、そんな神経質にならなくたって。こんなんじゃ、暮らせない。

しかし。あんなうるさい・細かい男とは知らなかった。まるで、私と娘は居候。
でも、いいの。引っ越してきたら、全部引っ掻き回すから。
家は妻の城。ルールは妻が作る。こればっかりは譲れない。
今に見ていろ! わっはっは!

多少の誤算はあったものの、次の日のお昼は夫が作ってくれた。
ちょっと驚き。
成長したんだね。妻は嬉しい。
 
by suzume-no-oyado | 2007-05-17 05:51 |
<< STAUB ストーブの鍋 5月のメニュー >>